2004年08月30日
日朝会談の「空白の十分間」について、最初に言い出した中西氏のテレビの日付がはっきりしなかったので、私が「緊急公告」という形で広く情報を募った。その結果、6月17日の日付のヒントを与えてくださった人がいて、われわれが「密談」のキーワードで引いて、時間帯を当て、3分20秒のテレビの録画が入手できた。そこから出所が日刊ゲンダイであると判明し、オリジナルの原文も手に入った。日刊ゲンダイの原文は「緊急公告」(四)に全文掲載されている。
ひょっとするとこれ以外の活字もテレビ番組も他にあったのかもしれない。中西さんが見たのと同じものかどうかも分らない。東京と京都はそれなりの距離があるので、時機がこないと確認できない。
私が実行するのはここまでで、この結果から新たに何かを引き出すのはマスコミと公安警察の仕事である、とも私は記した。本当に私は、事情が特に変わらない限り、ここで終るのである。
つまり私は「空白の十分間」の実在についても、密談があった可能性についても、あり得ることと疑ってはいるが、必ずあったと断定はしていない。断定するにはまだ材料が少し不足である。得られた情報を私は尊重するが、過大評価はしていない。そういう書き方をしている。
私は単に材料を提供したにすぎない。「吉之助」さんという方が応援掲示板次に次のように書いて下さったのが私の今の気持ちに近い。
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今回の「空白の10分間」問題に関して、西尾先生が如何わしい「日刊ゲンダイ」をソースに用いていることを心配されている方が少なからずいる。もちろん、ぼくはまったく心配していない。他にまともなソースがないのだから仕方がないと思うのである。後でもっと信頼できるソースが出てくるようなことがあれば、それをまた利用すればよいのである。「日刊ゲンダイ」を基にすることはマイナスのイメージを与えるだろうけれども、「空白の10分間」に対して国民の注意を喚起するためには止むを得ないのではないかと思う。
研究はなんでもガラクタのような素材から始まる。その中から本質を抉り出したり、それをスタートに波紋を広げていけばよいのである。
「サヨク」だとか「ウヨク」のレッテル貼りを恐れている人の気がしれない。レッテルを貼ることくらい、誰だって、機械にだって出来る。レッテル貼りしかできない人、世間の評判を気にしているような人は軽蔑しておけばよいのである。
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まったく同感である。しかるに日刊ゲンダイを用いて、首相を批判するのは左翼と同じだとか、西尾が予断を持って猜疑するやり方はありもしない従軍慰安婦をプロパガンダした反日派の手法とそっくりだとか、妙なことを言い出す人がわっと出てきて、私は大変に当惑している。何を言われているのかさっぱり分らないのだ。これについては、同じく応援掲示板の2210番「もう一度こちらに再掲します」で「無頼教師」さんが懇切に、論理的に説諭しているので、そちらをお読みいただきたい。
勿論、事柄の初めに小泉首相への疑惑がある。日朝再訪を境に朝鮮総聨に接近し、北朝鮮への土下座外交の度合いを高めた首相の態度急変への心配がある。この心配は多くの人が共有している。そこから「空白の十分間」への猜疑が生じたのであって、なにもないところに批判的感情が起こったのではない。これは全体状況からきていることで、やむを得ない。
それでも私は「空白の十分間」の実在と密談の可能性を決して断定していない。私は慎重に扱った。しかるにネット上ではこの対応が分らない人がどっと出現した。まるで地下から急にわき上がったかのごとく、文章の体をなさないヒステリックな、人を小馬鹿にした高飛車なもの言いがあふれ、Comments欄の書きこみ欄を閉じてもなおTrack Backに書きこみはつづき、応援掲示板に氾濫し、この掲示板の正常な運営を不可能にし、管理人は急遽、論争用のトコトン板という新造の舞台を提供したほどである。
私はそうまでして受信の努力をする必要はないのではないかと考えている。言論人のホームページはだいたい発信のみである。一方通行である。書きこみ者からの受信をここまで尊重する管理人は当「日録」以外には見出しがたいのではないかと思う。
今後どうすべきかは管理人の裁量に委ねられているが、私は実名を隠蔽して無遠慮な言葉遣いが礼を欠いた書き込みを次々と乱発するひとびとに、現代のある病理を見る思いがして、これは一体何だろうかと訝しんでいた。ゲバ棒学生が覆面で街頭デモをした35年前の光景を思い浮かべた。すると面白いことに、次のような絶妙な分析をなさる人も現れた。
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2213 くだらない意見は無視しましょう abc 2004/08/29 00:14
男性 会社員 43歳 O型 広島県
ソースロンダリングとか右とか左たかそんなに大事な事ですか?
本当に大事なのは「空白の10分間」の「事実性の検証」であり、それを前提とした小泉首相の「売国奴体質の検証」なのではないですか?
くだらない事に時間を費やすのは止めましょう。以下トラックバックよりコピペ
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2004-08-27
よくわかりました
私は小泉首相にも空白の十分間にも基本的に興味はありませんが、今回日録で一般に情報を募った経緯はよくわかりました。
一言でいうと、インターネットの良さと悪さが両方出た一件だと思います。
現在のインターネットは匿名かつ無料での利用が基本になっていて、こうなると、専門的知識のある方や地位のある方はなかなか積極的に参加するというわけにはいきません。名前があるというだけで
卑怯な不満分子たちから標的にされ、対価もえられないわけですから。
一方で、インターネットは専門的知識を必要としない、しかし見つけにくい情報を得るには非常に便利ですね。
たとえば、このような品物はどこで売っているかとか、こんなソフトフェアはないかといった程度の小耳情報、つまり金銭的には無価値だが、誰にきけばよいかわからないような情報は、テーマ別掲示板などで尋ねるとたちどころに分かります。
日録での「空白の十分間」についての協力要請も、最初は愚にもつかない書き込みばかりだったのでダメかと思いましたが、結局は2、3日中に番組名や元記事の簡単な内容までわかったわけですから、うまくいった方だと思います。しかし、同時に、ふだんはここには書き込まないようなネット空間の病人のような人たちをも引き付けてしまいました。
この人たちは、現在インターネットを一番利用していると同時に一番大きな問題ともなっている、ひきこもり系のネット中毒者たちです。
彼らの多くは、職場に適応できなかったり、学校を放棄してしまったり、あるいは精神的に病んでいるような社会的不適応者です。残念ながら、
現在のインターネット上の匿名掲示板はこの種のひきこもり系の人たちによって、その80%が書き込まれています。
彼らにとっては、ネットはボロボロになった自尊心をバーチャルに癒す空想界であると同時に、外の世界、現実世界とつながりを維持するための唯一のパイプでもありますから、そこへの傾倒の仕方は尋常ではありません。
日録にしろ、他のまじめ系サイトにしろ、大半の閲覧者は識者の見解をただ有難く傾聴しているだけで、なかなか書き込むところまではいかないものです。(私ももう1年以上日録を見ていますが、先日
書き込んだのが最初です)しかし、ひきこもり系利用者にとっては、もともと失うものがないですし、することもなく1日中どこか相手をしてくれるところを探して、書き続け、垂れ流し続けているわけですから、どうしても、掲示板の類いはこの種のチャット的、意味のない会話やつぶやきで占められることになってしまいます。
今回は、問題となる番組の情報が得られたまではよかったのですが、小泉首相に関するテレビ報道という誰でも書き込みやすい話題だったため、見識もなにもないネット中毒者たちの書き込みが普段にまして多かった。ここで、西尾先生が、このひきこもり系たちの病理的な異常さを政治的な意図をもった異常さと読みちがえてしまったのがまずかったですね。あるいは、そういう風にミスリードした「自称
ネットの事情通」の方にも問題があります。
上記の人たちは、現実界での復讐戦を誓っているわけですし、もともと人格的にも問題がありますから、一人でなりすまして何人分の記事を書くなど朝飯前です。掲示板でAの意見に、賛成者80反対者30と見えても、実際に書き込んでいる人の数は賛成2反対20だったりするのはごく普通のことです。このネットの弊害はどこでも問題となっていて、なんとかこれを除去する方法がないか思案されていますが、技術的な工夫を必要とするので、まだ手軽な妙案はないようです。
ひきこもり系のネットお宅たちにとっては、自分たちのクズ言説の山が、高名な知識人である西尾先生の反応、これは負であれ正であれ彼らにはいっしょです、を引き寄せたわけですから、狂喜乱舞の有り様です。
彼らは、実生活では誰にも相手にされず、生まれてこの方、えらい人とは1度も口を効いたことがないわけですから、この喜びようが尋常でないのはある程度理解できます。しばらくは彼らの興奮が、ここにも汚い罵倒となって表われるでしょうが、これも可哀想な人たちへのお年玉だったとして甘受するしかないでしょう。
以上、いわずもがなのことだったかもしれませんが、日録を閲覧している普通の利用者には、一般人でblogを作り、なんの内容もない日記を公開するという自己満足をやっている人が少ない、したがって通常の利用者によるトラックバックが付きにくい、たたただ中毒者の汚い煽りだけが貼付けられるというのは、わかってはいても先生も気持が悪いだろうと思い、書かせていただきました。応援掲示板のトラックバック版ということで。
この件はこのまま無視して、もう差し支えないでしょう。
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フーム、そうか、成程と私はなんとなく得心がいった。圧倒する奇妙な小泉擁護の書き込みを、私がある人のヒントもあって、政治的マニピュレーションと思ったのが間違いだったのかもしれない。勿論、小泉サイドからの揺さぶりという疑念をまだ捨て切れてはいないが、この異様な雰囲気の全体は、上記の引用文の言う通り、政治的対象ではなく、病理的対象であると考える方がずっと分り易いのかもしれない。
インターネットの裏の世界がどういうものかを考える切っ掛けにはなった。「日録」の管理人はこういう目に合ってもまだけなげに、彼らと対話が出来ると信じ、正常なルールを彼らに守らせることができると思い、むしろこの世界のルール――そんなものはないように見えるが――に自分を一生懸命合わせようと努力している。
それがうまく行くのかどうかはしばらく様子を見守るしかない。
脱字修正(13:02)
2004年08月26日
最初にご報告するのは荒間さんの一文である。荒間さんは私のこの「日録」の最初の総合管理人で、当サイトを熱心に、堅実に運営して下さった方である。
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題:空白の時間は確実に存在した /氏名:荒間宗太郎 /日:2004/08/23(Mon)
18:33 No.1112
夢空廊漫遊
2004年08月21日
トップ怪談
日朝トップ怪談に関して、今回は例外が多いと思う。
一つは国交のない首脳同士の会談が一方の国を舞台に、つまり我が国の首相が二度も訪問すること自体が例外的なこと。
さらに、二度目の今回は二人っきりの会談が設けられていたらしいという漏れ情報が伝わってきたこと。中曽根首相の時代にロンヤス会談としてつとに有名な「二人っきりの会談」は誇らしげにキチンと公表されていたし、それ以外の首相の時も同様だっ
た。もちろん会談の中身自体は公表されない場合が多いが、会談自体がなかったかのごときに隠蔽されることはなかった。
今回だけは何もなかったかのごときにされている、そこがおかしなところだ。当時現場で取材しているはずのどのメディアも何もなかったかのごときに扱っている。それにしては当時の会談終了の際の混乱はなんだったのだろう。メディアにより会談の終
了時間の確認がそれぞれ異なっていて、だいぶ経ってから「公式発表」により会談終了が決定された。そして会談は一時間ちょいと言うことになっている。テーブルを挟んでの日本側と相手側との会談に時間記録さえしていなかったのか?
最後に二人の首脳同士の会談があり、それの終了時間が確認され得なかったからの混乱だとフツーは推測するんだがなぁ。なぜなら、その場面でなら時間記録をする者が同席していないのだから会談時間を計れないから。通常の会談では会談内容を記録す
る者以外に時間計測をする者も同席する(兼ねている場合も多い)というのが定石だろう、その程度の事は誰にでも判るはずなんだがなあ。
何年何月何日何時に始まり何時に終わったという記録のない会談記録では意味を成さないのは外務省以外の省庁では常識です。
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これは思いがけない視点であった。全体をじっと冷静に見ている人だから、何かがあると直観したのであろう。新聞に書いてあることだけにしか目がいかないのが常なのに、書かれていないことに目が行く――これは秀でた歴史家が資料を調べるときにいつも意識している態度である。凡庸な歴史家は文献にとらわれ、文字面にこだわる。文字に書かれていない外を見ようとしない。荒間さんは複眼で見ている。
会談終結時間の記録がないのはあの日の慌てぶりを示している。そして「空白の十分間」の実在を暗示している。
次に日刊ゲンダイの実物が手に入った。大隈誠治という政治ジャーナリストの署名記事であった。(上)(下)に分かれている。「中西輝政非公認ファンサイト」から転載する。
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北朝鮮亡国土下座外交の真相 上 発覚!!小泉金正日 10分間の怪しい密談
小泉首相の訪朝から1ヶ月弱-。案の定、曽我ひとみさん問題は進展ゼロだ。
金正日の忍び笑いが聞こえてきそうだが、そんななか、小泉-金正日の、”怪しい密約説”がささやかれている。たった1時間半で終わった首脳会談に、”10分間ものサシの密談”があったというのだ。
官邸事情通が言う。
「首脳会談が終わった直後、外務省の藪中局長から官邸の細田官房長官に報告の電話がかかってきた。藪中局長が首脳会談があっさり打ち切られたことを告げると、細田は顔色を変えて『何だって!君たちは一体何をやっていたんだ』と激高した。これに対し、藪中局長は『最後は私たちも外された。総理と総書記の密談になってしまったんです。』と言い訳していました。」
新聞は全く報じていないが、首脳会談の金正日総書記と小泉総理は通訳だけを介して向き合っていたのである。一体、何が話し合われたのか。
「小泉首相は首脳会談の冒頭で、食糧、医薬品支援を約束し、経済制裁を発動しないことも表明した。最初にカードを切ってしまったものだから、あとは終始金正日ペースでした。安否不明の10人の拉致被害者についても『解決済み』という金正日総書記に対して、小泉総理が必死に食い下がり、再調査の口約束を引き出したのが精いっぱい。さっさと席を立とうとする金正日を押しとどめて、密談になったのです。そんなムードだから、密談の中味は想像に難くない。小泉は外務省高官に聞かれたくない譲歩や支援のカードを切ったんでしょう」(外務省事情通)
金正日が欲していた経済援助は1500億円規模だったとされる。金正日は政府間交渉の段階から援助の無心を繰り返していた。食糧支援は当初15万トンの予定だったが、小泉の指示で急きょ、10万トン上積みされた。しかし、それでも1500億円には程遠い。その穴埋めの話だったのか。
北朝鮮の経済支援のために在日商工人による経済ミッション派遣構想もささやかれている。
亡国の土下座外交だったことが次第に明らかになりつつある。
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細田氏と薮中氏との対話のような内容は、つくり話では書けない。会談が終って金正日を送りだした小泉首相の放心したような顔が思い出される。よほどの無理難題を吹きかけられた直後だったのだと思う。無理難題を日本が解決しない限り、10人の安否情報は出てこないだろう。「解決スミ」と相手は言っているのだから。
人をさらっておいて、情報を小出しに出して、そのつど援助を求め、援助額を次第に釣り上げていく。謀略家には方法論があるのに、最初から交渉をしないで、交渉のカードを捨ててしまったわが首相には、なんの方策もない。頭を垂れて、どだい無理な要求を黙って聞くしかなかったのだろう。あるいはそれ以上の、なにかほかのわが国に致命的な密約もあったかもしれない。
次はつづきの(下)をお読みいただきたい。
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北朝鮮亡国土下座外交の真相 下曽我さん一家仰天再会シナリオ
曽我ひとみさんと家族の面会場所はスッタモンダの末、インドネシアのバリ島で落ち着きそうだ。政府は二女の誕生日である7月23日までの会談実現を目指し、その後一家は長期滞在し、事態の打開策を探ることになる。
しかし、小泉首相が再訪朝を焦らなければ、「曽我問題」はとっくに解決していたかもしれない。自民党関係者がこんな内幕を暴露する。
「外務官僚の一部はカンカンでしょうね。というのも、当初、小泉再訪朝は6月中旬の予定で、曽我さん問題でもウルトラCの解決策を練っていたのです。まず、外務省が米側と交渉、ジェンキンス問題での裏決着を取り付ける。その上で、曽我さん一家をスイスで会わせ、その後、ジェンキンス氏をドイツに移送。同国内の米軍基地には軍判事が常駐しており、そこで軍事法廷にかけ、病気を理由に即釈放させるというシナリオです。米側がこれを了承したかどうかは今となっては分からないが、このプランを詰め切れないうちに、自身の年金問題に焦った首相が再訪朝前倒しをしてしまった。それで予定は狂ってしまったんです。」
再訪朝前倒しが動き出したのは5月14日だ。夜もまだ明けぬ午前3時過ぎに北朝鮮から「訪朝受け入れ」の連絡が入った。喜び勇んだ飯島勲秘書官は、細田官房長官に電話で政府専用機の用意を迫る。「いきなり無理だ」と渋る細田に飯島が「訪朝の前倒し」を告げると「そんなことは聞いてないぞ」と仰天したという。
飯島がかくも訪朝を急いだのは、翌週の週刊誌に小泉の年金未納問題が報じられることが分かっていたからだ。つまり、再訪朝は疑惑隠しだった。別の政界関係者は述懐する。
「官邸が気にしていたのは総理の国民年金未納問題だけではない。実は勤務実態のない企業に厚生年金を肩代わりさせていた問題の方がはるかに深刻だった。似たような議員が党内には大勢いるからね。これは形を変えた献金だ。うっかりミスでは済まない。幽霊社員の問題に火がつけば、内閣が持たないと官邸は再訪朝を焦ったんだ」
再訪朝の結果を見たある外務官僚は「外交ルートを無視したんだ。あとは小泉と飯島が勝手にやればいい」と吐き捨てた。外交を疑惑隠しに利用し、悪びれもしない亡国首相は断罪されてしかるべきだ。
(政治ジャーナリスト・大隈誠治)日刊ゲンダイ6月18日・19日の記事より
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日刊ゲンダイはもともと左のジャーナリズムである。最初にここに漏れたのが、情報が拡大しなかった原因かもしれない。保守系のマスコミは日刊ゲンダイをひごろ信用せず、採用したがらないからだ。他方、左翼系のマスコミは、朝鮮総連に不利になるこのネタは広げたくない。小泉首相の総連への梃入れを守っていきたいのが、テレビ朝日を含む左の論調であった。田原聡一郎氏が小泉首相の北との交渉を賞賛し、弁解にこれつとめたのは記憶に新しい。
産経新聞が出所は日刊ゲンダイだからといってバカにせずに、いち早く真面目に追及していたら、事態は多分変わっていただろう。
情報は日刊ゲンダイ以外にあったのかもしれない。
私と「中西輝政非公認ファンサイト」のこの協同の追及劇は、すでに明らかにしてきた通り、次のような手順を踏んだ。
1)中西氏がテレビ朝日24日、25日、26日のいずれかのテレビ朝日昼のニュース番組と教えてくれたので、この3日間の約4時間30分を、テレビ局から独立した録画保存会社から買い取った。代価は5万8590円であった。保存は約3ヶ月だそうで、5月末はぎりぎりだった。テレビ会社は、一般視聴者には原則として自局の過去録を提供しない。
2)4時間30分に当該内容は存在しなかった。中西氏の日付の記憶違いであったとわかった。人間にはよく起こる間違いである。
3)そこで、調査する日付を一日さかのぼって23日からとし、NHKと在京主要民放の報道番組を全てピックアップして、見出し調査を依頼した。しかし中西さんの記憶にあう内容は見いだされなかった。
4)日付の範囲を試みにさらに広げて、23日から29日までとし、同様にNHKと在京主要民放の報道番組の内容・見出しの検索を依頼した。キーワードは、小泉と拉致であった。しかし、これをしても当該内容は見つらなかった。3)4)の調査は合わせて2万1千円を要した。
5)そこで当「日録」の「緊急公告」(一)で広い範囲に呼びかけて、何か覚えている人がいないかを尋ねることにした。その結果、6月17日という日付とワイドスクランブルという番組名が明確になった。
6)再び録画保存会社に問い合わせ、6月17日のワイドスクランブルに検索対象を特定し、「密談」をキーワードに検索を依頼したところ、11時25分から13時05分の中の3分20秒「日朝首脳会談 10分間の怪しい密談が発覚!?」がついに発見された。早速3分20秒のビデオを取り寄せた。これは調査料とビデオ代金で合わせて1万2705円を要した。
7)ビデオが夕刊の内容紹介であることも分かり、日刊ゲンダイが出所であると判明した。かくて日刊ゲンダイ社におもむき、6月18日付、19日付(発売は17・18日)の新聞のオリジナルを購入した。
以上の通り、大変に時間と人手と経費のかかる作業であった。関係各位の努力に感謝する。
私の「応援掲示板」を見ると、この手続きにまだ疑問を持ってごたごた言っている人がいるので、以上順序を追ってできるだけ詳しく明らかにした。個人が近い過去のテレビの記録を手に入れようとしても、闇夜に落とした貨幣を拾うごとく容易ならざる作業であることも人はわからないのであろうか。素人がやればこれが精一杯である。我々はここまで明らかにしたので、ここから先はマスコミと公安警察の仕事である。
近く出る『正論』10月号の拙文もご一読たまわりたい。
誤字修正(10/23)
2004年08月24日
緊急公告(一)(二)のComments欄の中になにか説明のできない異様なものを感じ、私はComments欄の閉鎖を実施した。その異様なものの正体がいち早く本日明らかになった。
Irregular Expression(Google検索で簡単に出せる)に8月19日と20日付けの両日にわたり次の内容が掲載された。Commentsにまぎれこんでいた主張の多くがこのサイトの関係者に由来することは以下で明らかになった。
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August 19, 2004 西尾幹二のソース ロンダリング「空白の10分間」
うちのコメント欄にも2度ほど書き込んであったが、なにやら保守論客の重鎮 西尾幹二氏が小泉総理訪朝の際の大スキャンダルを知り、それに関して読者の情報提供を求めている模様。まずは「西尾幹二のインターネット日録:緊急公告」をご一読下さい。
これを読んですぐ連想されたのは「従軍慰安婦問題」とか「木村愛二のでっち上げ小泉レイプ裁判」。
西尾氏が「10分の空白」のソースとしているのが中西氏のVoiceに掲載された論文、そしてその中西氏の論文のソースになっているのは「外国人の外交筋」と「テレビ朝日のニューススクランブルで語られた事を書き取ったメモ」。以下西尾氏のblogから引用:
従って、氏は「空白の十分間」は誰もが知っている明白な事実と思っていたそうです。
しかし、何日経ってもこれが重大ニュースになりません。それどころかマスコミの表からはいっさい消えてしまいました。5月25日か26日かを境にまるで雲がかき消えるように消滅してしまったのです。不思議でなりません。私が報道関係筋に聞いても知らぬ存ぜぬです。官邸筋の秘匿意図が働いているのかもしれません。それほど重大な事柄なのでしょう。
以下のことでご存知のかた、至急Commentsに書きこんで下さい。
「10分間の空白」について
1)テレビで聞いて自分も知っている。
2)そのときのビデオを持っている。
3)中西氏以外のなにかで別に読んだ記憶がある。
4)そのときの関連の活字をもっている。
5)その他
中西氏はテレビで見たので明白な事実だと思った
↓
でもそれ以降重大ニュースとして取り上げられない
↓
報道関係筋に聞いても知らぬ存ぜぬ
↓
きっと官邸が情報隠蔽してるに違いない!
凄い論法だな。中西氏が「テレビ朝日の5月24日か、25日か26日かの、ニューススクランブル(正午12:00~)で自明のこととして語られていた」とまでソースを明示してるんだから、そこに先ず当たったんだろ?西尾氏は朝生とか出演してたんだからテレ朝に知己は多いだろうが。それで情報収集したにも関らず「知らぬ存ぜぬ」だったら、まず可能性として上げられるのは中西氏の記憶違いじゃないの?
それを一足飛びに「官邸筋の秘匿意図が働いているかもしれない」って陰謀論に結びつけるのはちょっと電波きつ過ぎ。で一般読者に「空白の10分」のソース提供を呼びかけているが、その時点で西尾氏は「空白の10分」を既成事実化してるわけ。
そもそも、中西氏のVoiceに掲載された論文自体「『空白の10分』が正確だったら」という非常に曖昧な前提で「小泉首相の個人的な弱みが有ったかもしれない」「それを持ち出されたかもしれない」「殿ご乱心状態だったかもしれない」と次々と妄想を重ねてる。で積み上げられた妄想の結論が「国家としてのギリギリの安全装置も機軸も失ってしまったのである」と断定系。おいおい、前提条件が「だったら」とか「かもしれない」なのに結論は「である」かよ。笑える。
西尾氏がお好きなような陰謀論に乗っ取って読み解けば、西尾の行動は別に「空白の10分」のソースを本気で欲しがってる訳じゃなく、「空白の10分」は有ったはずでそれが隠されている、という前提を「読者にソース探しの作業をさせる」事によって「既成事実化」したいだけ。
いやー、サヨクっぽいね。やってる事が木村愛二と全く同じ。あの一件も「小泉のレイプ事件は地元市議の間でも周知」とかネットで書きこしまくり、しまいにはアホな民主党議員がYahooの掲示板に書いてあった事をソースに国会で代表質問。こんどは「国会で代表質問までされた小泉レイプ裁判」とデタラメなソースを元にした国会質問が「ソース化」してしまってた。これぞ「ソースのマッチポンプ」。非常に今回の西尾氏の手法と酷似している。
まぁ西尾氏自身、木村愛二のデタラメ裁判(しかも裁判所からはっきりと否定されたこと)をblogでさも信憑性があるかの如く取り上げてまで小泉批判を展開した人だから、きっと根っこは同じなんだろうけどさ。
しかし、侮る無かれ保守論壇。さらに読み解けば西尾氏のソース弄りテクは木村愛二を超えている事が判明!
実は、西尾氏の呼びかけに応じて彼のblogのcomment欄には下記のような2つの情報が寄せられていた
2chからのコピペ
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462 :日出づる処の名無し :04/08/18 08:28 ID:c3fd7cdx
>>445
6/17にワイスクの夕刊キャッチアップで、夕刊フジだか日刊ゲンダイだかの記事を紹介してたよ。
それ一回しか見てない。
実況スレの過去ログチェックもしたけど、5月24-26日にそういうカキコはなし。
5月24-26日というのは勘違いじゃないの?
400 名前:LIVEの名無しさん :04/06/17 13:06 ID:/zH8yZis
夕刊キャッチアップ
日朝会談で「10分間の怪しい密談」(どこの記事か不明)官邸関係者によると
日朝会談当日、平壌の薮中局長から細田官房長官へ電話が入り、会談があっさり打ち切られたことを聞くと官房長官は激昂した。薮中氏は「最後は私達も外された。密談になった。」と話した。
通訳だけで何が話し合われたのか。最初に日本側のカード全部が切られたから会談は終始向こうのペースであった。そんなムードでの密談であり中身は想像に難くない。
援助の要請は1500億円という説もあり~在日商工人によるミッション派遣構想?もどうたらこうたら
この記事本当?
川豚「この記事よく読むと通訳は両方いるはず~(何言ってるのかよくわからず)
機密として保存されているから事実としては考えにくい」 ********************************************************
Posted by abc at 2004年08月18日 17:20
ようやく見つかりました。
6月17日、テレビ朝日放送系列で確かに放映されていました。
タイトルもずばり
「日朝首脳会談 10分間の怪しい密談が発覚!?」です。
これで、肩の荷もおりました。ほっとしましたよ。
Posted by 無頼 at 2004年08月19日 11:44
また別の掲示板でも下記のような書き込みを発見
万景峰号の入港を阻止する会 掲示板
[16166] 先月の訪朝で小泉と金の間にサシの密談があった? 投稿者:神奈川太郎 投稿日:2004/06/17(Thu) 18:07
今日の日刊ゲンダイでは、先月の訪朝のときの会談で薮中局長などの随行員を排除して、小泉と金正日だけの密談の時間が10分間ほどあったことが記事になっています。
同記事では、首脳会談が終った後に、薮中局長から細田官房長官宛に電話があり、あっさり会談が打ちきられたことを報告。それを受けて『何だって!君たちは一体何をやっていたんだ』と詰め寄る細田官房長官に対して、薮中局長は『最後は私たちも外された。総理と総書記の密談になってしまった』と言い訳をしたとのことでした。
しかし、10分間というわずかな時間に二人は何を話したのでしょうか?
勿論、通訳を介しての会談ですから、実際は5分程度のものでしょうが、小泉のことですから独断でとんでもない約束をしてこなければいいのですが。
何やら、だんだんきな臭いことになってきましたね。
これらの情報を総合すると6月17日付けの「日刊ゲンダイ」の与太記事をテレビ朝日ワイドスクランブル内で夕刊紙の記事を読み上げるだけのコーナー「夕刊キャッチアップ」で紹介して、しかも「事実としては考えにくい」って言ったって事だ。
おいおい、西尾くんよ、アンタがソースとして示した「テレビ朝日の5月24日か、25日か26日かの、ニューススクランブル」って何よ?「自明のこととして語られていた」って何よ?「しかし、何日経ってもこれが重大ニュースになりません。それどころかマスコミの表からはいっさい消えてしまいました。5月25日か26日かを境にまるで雲がかき消えるように消滅してしまったのです。」って何よ?
この妄想電波野郎め!
「日刊ゲンダイ」→「テレ朝」→「VOICE中西論文」→「保守論壇の重鎮西尾幹二」→「インターネット」
要するに西尾幹二氏が狙っていたのは、怪しい怪しいイエロージャーナリズムの与太記事を、発信元を複雑化する事によって信憑性を増し、インターネットに大放流して公知の事実にしてしまうって事だったの?すげー!「ソースのマッチポンプ」を越えるね。これってマネーロンダリングならぬ「ソース ロンダリング」だよな。
ネットで流れる「小泉空白の10分間」のソースは「西尾幹二とテレ朝」になるんだろ。そこには「テレ朝は単に日刊ゲンダイの記事を紹介しただけ」って一言も触れられないんだろうな。そうやってデマが既成事実として取り扱われる。。。
すげーーー
木村愛二も西尾幹二のソースロンダリングのテクニックを学んで小泉レイプ裁判起こせばよかったのにね。さすが保守論壇のウチゲバに勝ち抜いて重鎮の座を得ただけのことはあって、西尾幹二くんの策謀は手が込んでて素晴らしいね。
デマだか妄想だかわからん事をネタに保守同士のウチゲバ工作やってるうちに、「在日外国人参政権」を実現しようと民団・総連に民主党やら公明党が着々と準備を進めてるんだぞ。保守論客としてもっとやるべき事が有るんじゃないの?ちゅうか実はあんた国家のことなんてなーんも考えてない?そういう街宣右翼みたいなことばっかやってると英霊達の怒りの天誅喰らうぞ!
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以上はごらんの通りCommentsからの引用で占められている。小泉首相を支持する知識人は周知の通りクライン孝子氏ひとりである。
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在日外国人参政権を阻止する為に、ごめんなさいAugust 20, 2004
昨日のエントリーで書いた西尾幹二氏のソースロンダリング批判についてご立腹の方も多いようだが、ほんとに保守同士で喧嘩してる場合じゃないって。
クライン孝子氏のWEBサイトより(リンク先まで熟読をお勧め)
・・・・・・・・・・中略・・・・・・・・・
正直今の自民党は選挙結果でも分かる通り、単独政権を維持できる議席が無い。構造改革を強烈に進め橋本派の利権を切り崩した結果、支持団体からもそっぽを向かれてる状況。さらに輪をかけてマスゴミの極端に歪んだ民主マンセ報道。で選挙で民主党と公明党をのさばらせた結果がこれだよ。連立政権を組む公明党への譲歩として与党は次の臨時国会で在日外国人参政権を審議しなくちゃならなくなった。
北朝鮮拉致問題は勿論大事な事だ、国家として主権を侵害され国民を危険に晒してしまった事に対しキッチリ落とし前をつける必要がある。その方法論を巡っての議論は大いに戦わせれば良いが、ウチゲバ的な誹謗中傷足の引っ張り合いをして仲間内でお互いの体力を消耗させる事によって、今、目の前で進められようとしている主権侵害を見逃す事こそ愚の骨頂。
是々非々、これがとても大事。
西尾氏支持の方、もし昨日のオレの物言いでむかついたらそれは謝る、ごめんなさい。ただしオレの言いたかった事も理解して欲しい。俺等は身内で死ぬまで殴り合ってちゃいけないんですよ。
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私はデマを流しているのではない。一つでも証拠がほしいから「緊急公告」で情報を求め、そして成功したのである。何とかその日の新聞も入手したいものと考えている。
テレビの6月17日ワイド・スクランブルで分った通り、「空白の十分間」の情報源は外務省事情通と官邸事情通である。外務省にも官邸にも、小泉首相の北朝鮮外交に疑問をもち、批判的な意見をもつ人々は少なくないものと私は思っている。官僚諸君よ!起ち上りたまえ。何も恐れることはない!
ところで、発売されたばかりの『週刊現代』9月4日号に、「安倍晋三幹事長『派閥結成』へ始動!」の文章がのっている。安倍氏は幹事長を辞し、入閣もことわる気らしい。もしその通りになるなら、意気は壮なり、真の国士の気概ありだ。「安倍勉強会」結成と「若手の会」発足に向けて動き出すらしい。
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安倍がこのタイミングで一連の動きに出た理由は何なのか。安倍周辺の議員はこう解説する。
「一言で言えば、小泉首相に見切りをつけたということです。先の参院選は、明らかな敗北。しかも『人生いろいろ発言』に代表される小泉首相自身のふまじめでいいかげんな態度が国民の反発を買い、頼みの支持率が急降下するなかで負けるべくして負けた。なのに、小泉首相は懲りもせず、選挙後も『いろいろ発言』を連発し、世論の『小泉離れ』に歯止めがかからなくなっている。安倍さんからすれば、このまま一緒に野垂れ死になどとんでもない、抱き合い心中など真っ平ごめんというのが本音でしょう」
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これはただの権力闘争ではない。日本の保守が生命力を蘇らせることができるか否かの岐れ目である。
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勉強会の構想の浮上と前後して、安倍は周辺に、小泉批判をぶちまけている。
「小泉さんはどうしようもない。外交も防衛政策も何も分っていない。前から分っていないと思っていたが、あそこまで分かっていないとは思わなかった。もう限界だ」
「このままでは自民党は次の参院選で負ける。次の衆院選は自民党政権で行う最後の衆院選になるかもしれない」
なにしろ日ごろの小泉は、「レクチャーに行っても、大概は目をつぶっている。もしかしたら起きていて聞いているのかもしれませんが、ほとんど寝ているんでしょう」(内閣官房幹部)
と役人が呆れるほど、郵政民営化以外は政策にほとんど無関心。その不勉強ぶりは歴代首相の中でも突出していると言われるが、最近の日朝交渉や日本人拉致問題への対応、防衛問題を巡るハチャメチャぶりは、安保・防衛政策と拉致問題解決をライフワークとする安倍にとって我慢の限界を越えたようだ。
・・・・・・・・・途中略・・・・・・・・・
(首相が)拉致問題を人気取りのパフォーマンスに利用する姿勢についても、ことあるごとに不満を漏らしており、「日朝交渉では他人に言えない秘密のことをやったので、俺は蚊帳の外だった」と、拉致被害者の帰国に当ってカネが動いたといわんばかりの発言もしていた。
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「他人に言えない秘密のこと」という一語がここにも不気味に表現されている。ともかく「なにか」があったのである。それは永遠に分らないかもしれないし、案外簡単にバレるかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・
*管理人注
タイピングミスによる修正を行いました。
西尾先生ならびに、関係の皆様にご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。
「空白の十分間」の情報源は外務省と官邸である。
↓
「空白の十分間」の情報源は外務省事情通と官邸事情通である。
(9/15 11:13 最終削除修正)
2004年08月22日
個人の言論は無力なものである。いつも言っていることだが、個人の言論が政治を動かすことはほとんどない。
細い糸をたぐるようにして、現実の一端に少しでも触れようとしている私とその協力者たちの必死の努力を頭から理解しようともしていない人々の意見がComments欄の三分の二くらいあるのを知り、いったい何を恐れているのかと怪しんだ。そこに一定の政治的意図も感じたので、これ以上は無意味と考え、Comments欄を閉鎖することにした。
これら無理解な人々に反論して下さった理解者に感謝する。理解している人は最初から理解しているのである。そして理解者の大半は必ずしも書き込みはしない。
「緊急公告」(三)は新しい現実を発見し次第、それを報告するために遠からずだされるであろう。そこでもComments欄は予定されていない。
2004年08月21日
――「空白の10分間」をめぐって――
先に「緊急公告」を掲げ、情報をお寄せ下さるよう広く呼び掛けた。呼び掛けに応じ、40人以上の方の意見がComments欄に寄せられた。厚くお礼を申し上げる。
有効な情報は6月17日という日付を教えて下さった一件だけだったが、いろいろ反対意見や批判を述べて下さった方々をも含めて、問題提起への関心の高さに対し深謝したい気持ちである。
『正論』10月号に、「空白の10分間」に冒頭で触れ、約三分の一をこの件に関連させた評論「なぜか理由もなく日朝国交正常化を急ぐあぶない宰相」を書いた。東アジアの国際情勢の不可測性の中での首相の認識の甘さ、子供っぽい冒険主義、またいわゆる小泉改革のイデオロギーの単純さ、虚妄についても言及した。
当該評論には編集部が文中から表現を拾って作った次のキャッチワードが付いている。「他人の運命にも国家の行方にも根のところでは無関心な人にこれ以上国政を任せる気にならない。」
ところでCommentsの中のご意見の三分の二が私の小泉批判を快く思わず、私のやり方が左翼的だとか左翼と同じだという罵倒から、私が単にテレビ情報を広く世に求めているだけなのに、あやふやな情報で首相批判をするのはケシカランなどのお叱りに至るまで、感情的反応で占められていた。
これを見て、世の中にはいまだに小泉好きが多いのだと私はあらためて知った。自民党政府を批判する者は左翼だというワンパターンの人も多いのだと分った。ひとつひとつの政策を見ないで、好きな人のやることは何でも全部正しいのだと思いたがっている人が多いことも再認識した。
しかし、それよりも何よりも、日独伊三国同盟からパールハーバーまで、あれほど情報戦略にもろくも敗れた自国の歴史を知っているはずなのに、いま目の前で起こっている情報戦のひとつといえども見逃すまいとする真剣なまなざしが世の人々に欠けている。国民に真剣さが欠けているから、甘い政府ができあがる。
「空白の10分間」が本当にあったかどうか分らないという立場で私はこれを書いている。6月17日のテレビ報道の実在はたしかに確認し得たが、私はビデオをまだ見ていない。「緊急公告」をしたから、今後辛うじてひとつのテレビ番組だけは見ることができることになったが、その内容も勿論全面的に信じているわけではないし、さらにここから先の奥はもっと分らない。
なにもかもあやふやなのである。あやふやなことで物を言うなと私を叱った人によく言っておきたい。ある情報戦略本によると、英公文書館に秘蔵された情報の98パーセントは廃棄され、残された2パーセントが公表されるのだそうである。公表しない旧共産国家の場合は勿論もっと不明である。
つまり歴史は闇に隠されたまま進行しているのである。「空白の10分間」の小泉=金会談はあったかもしれないし、なかったかもしれない。マスコミと公安警察の力で表面化しなかったら、永遠に「なかった」ことになるだろう。
このサイトの読者はどうしてそういうことが分らないのか。私はなんらかの確信をもってやっているのではない。探索のすすめを論じているだけである。それは「空白の10分間」があってもなくても、朝鮮総連への首相の好意的急接近と選挙対策としての土下座外交の不自然さをみて、状況証拠は出揃っていると見たからである。
かつてフィリピン賠償や中国賠償でどんなキックバックがあったか。今また新しい『田中派」が生れつつあることにどうして人は気がつかないのか。
Commentsに書きこんでいる中の一人か二人かは、どうみても朝鮮総連の関係者かそれに近い筋である。ことばの書き方が自己暴露している。
テレビ録画からはどんな小さな信号でも無視してはならない。近日中に、6月17日11時25分から13時5分までのテレビ朝日系ワイド!スクランブルで、3分20秒間流れた「日朝首脳会談 10分間の怪しい密談が発覚!?」が「中西輝政非公認ファンサイト」に出ると思う。内容がどんなに一見信用しがたい外見を呈していても、現実を経験した人でないと語れないことばとつくり話との間には微妙な違いがあり、識別できるはずである。
Commentsの書き込み者の方々に言っておきたい。私は保守だが、自民党員ではない。自民党の固定した支持者でもない。自民党議員の8割を私は信用していない。
社会党左派と組んで村山政権を作った自民党の前科は日本の歴史を傷つけている。謝罪外交も、ジェンダーフリーもこの時代の自民党政権の産物である。保守の中が内乱となるほどの激しい議論と対立を引き起こすことをむしろ必要と考えている。自民党を解党し、保守の本物と贋物を区別し、分類する時期が来なくてはいけない。
小泉純一郎氏は贋物の側にむしろ近い過渡的役割を果たしているにすぎまい。
私は保守だが、惰性的保守ではない。『正論』10月号にまもなく出る拙論の冒頭部分を引用して、この項を終ることにしたい。
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小泉首相は中国に何を言われても靖国参拝をつづけているし、イラク派兵は実行したし、有事法制をともかく一歩でも前進させたではないか。大抵の惰性的な保守型人間はこう言っては、歴代内閣のできなかったことを首相が幾つもやったのは認めてあげなくてはいけない、と当分は権力の座にいつづけそうな存在に寛大であろうとする。そして、小泉という人間を見ようとはしない。
小渕恵三氏にも、森喜朗氏にもなく、小泉純一郎氏にだけあるもの――それは「あぶなさ」である。私は8月末に評論集『日本がアメリカから見捨てられる日』(徳間書店)を出した。その第一章は「他人の運命にも国家にも無関心なあぶない宰相」である。
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以上をよく読んで、見当外れにならないCommentsへの書き込みを是非おねがいしたい。ぼんやりした生ぬるい保守感情で自足したい人は私の「インターネット日録」は読まない方がいいのではないか。
(8/21 11:52一部修正)
2004年08月19日
――米国は日本攻略を策定していた――
ペリーが浦賀に来航した19世紀中葉、アメリカはまだ当時の一等国ではなかった。アメリカが大国の仲間入りをしたのは1898年にハワイを植民地にし、フィリピンを領有して以来である。ほぼ同年にグアム、ウェーク、サモアを抑えた。アメリカが「モンロー宣言」を出したのは1823年だったが、南北戦争(1861-65)が片ずくと、太平洋に対しては遠慮のない進出を開始し、この宣言をアメリカの孤立主義の声明と解釈することはできない。
南太平洋にじりじりとアメリカが北上し勢力を押し広げていくこの時期は、日本が日清・日露の戦いに向かい勝利を収め一等国に名乗りを上げる時代にほぼ相前後する。
アメリカは20世紀初頭にハワイからグアム、フィリピンを結ぶ線を新国境と定めた。イギリスは西太平洋におけるアメリカの支配を認めて、その水域から英艦隊を撤収した。極東におけるイギリスの関心は日本ではなくロシアだった。イギリスは第一次大戦よりも前に世界に手を広げ過ぎたことを意識しだし、軍事力、財政力の限界に気がついた。中国における自国の権益を維持するのに、イギリスは日本の軍事力に依存する必要さえ感じていた。日英同盟(1902)はイギリスの利に適(かな)っていたのである。
しかしアメリカはそうではなかった。アメリカはロシアを脅威とはみなさず、むしろ日露戦争後の日本の大国へのめざましい躍進ぶりに神経をとがらせていた。第一次大戦で日本が戦勝国として得た山東省の利権に反対してアメリカの上院はベルサイユ条約を批准しなかったし、ワシントン会議では日英同盟を破棄させその後日本を追い込む戦略に余念がなかった。
われわれ日本人は太平洋でのアメリカとの衝突を顧みるとき、先立つ世界史の大きなうねりを再考する必要がある。ヨーロッパとアジアで起こった覇権闘争はまったく性格を異とする。ドイツが引き起こした戦争は、欧米キリスト教文明の「内戦」にほかならない。ヒトラーは欧米文明の産み落とした鬼っ子である。宗教史的文脈で考えなければ、ユダヤ人の大量虐殺の説明はつかない。
それに対し太平洋の波浪を高くしたのは、一つには同時期に勃興(ぼっこう)した若き二つの太平洋国家・日米が直面した“両雄並び立たず”の物理的衝突である。二つには、白人覇権思想と黄色人種として近代文明を自力でかち得た日本民族の自尊心をかけた人種間闘争の色濃い戦争である(昭和天皇は戦争の遠因にカリフォルニアの移民排斥問題と、ベルサイユ会議における日本提出の人種差別撤廃法の米大統領による理不尽な廃案化をおあげになっている)。
歴史家はいったいなぜ自国史を説明するのにファシズムがどうの帝国主義概念がどうのと、黴(かび)の生えた「死語」をもち出したがるのか。歴史を見る目は正直で素直な目であることが大切である。
大東亜戦争は起源からいえば日英戦争であった。イギリスの権益は日本の攻撃でアジア全域にわたって危機に陥れられたからだ。しかるに実際に日本の正面に立ちはだかったのはアメリカだった。そこに鍵がある。ヨーロッパ戦線ではアメリカはどこまでも“助っ人”だった。しかし太平洋では“主役”だった。なぜか。
当時日本軍がアメリカ本土の安全保障を脅かす可能性がないことは、情報宣伝局は別として、アメリカ政府はよく分かっていた。ハワイは当時アメリカの州ではない。日本軍が米大陸に最も接近したのはアリューシャンの二、三の島を占領したときだが、それとて約四千キロ離れていた。アメリカはイギリスの“助っ人”という程度をはるかに超え出て、全面関与してきた。明らかに過剰反応である。
日露戦争の日本の勝利以来、アメリカは日本を標的とし始めた。日本がちょっとでも動き出せば叩(たた)き潰(つぶ)そうと待ち構えていた「戦意」の長い歴史が存在した。
アメリカの目的は最初から明白に日本の攻略であり、太平洋の覇権であった。
2004年08月17日
――ご存知のかたは質問にお答えください――
中西輝政氏が『Voice』8月号にお書きになった小泉首相再訪朝時の、金正日との会談における「10分間の空白」を、私はいま大変重大視し、目下その関連の論文を執筆中です。以下に中西氏の『Voice』8月号の論文「小泉首相の退陣を求める」91ページから必要な個所を引用します。
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報道によれば、ごく最近に明らかになった話として、「5・22訪朝」に同行した外務省の藪中アジア大洋州局長が、昼前後に、突然、うわずった声で東京の細田官房長官に国際電話をかけてきたという。藪中局長は会談が一時間半ほどで打ち切られ、金正日が席を立って出ていったことを伝えた。細田長官が「君たちが同行していながら、何でそんなことをした」と叱責すると、藪中氏は「私たちにも止めることができない状況があったのです」と答えたという。
中でも問題となったのは、その後の小泉首相の行動である。席を立たれたので慌てて後を追った小泉首相は、金正日から「二人だけなら十分だけ話す」といわれ、別室に二人だけで入っていった。他に入ったのは北朝鮮側の通訳だけで、外務省の人間は同席できなかったと伝えられている。
もしこの報道が正確なら、この間、両者の間でどのような会話が交わされたのか、話によっては、欧米では「国家への反逆(裏切り)」の嫌疑さえ云々されよう。そこに”空白の十分”が生まれたわけで、まさに「金丸訪朝」と同じパターンである。場合によっては小泉首相に何か個人的な「弱み」があって、それを持ち出された可能性も考えねばならない。これはとうてい、民主主義国の指導者がなすべき外交ではない。
本来ならば、首相が最後の一線を越えそうなときは、外交官が体を張っても止めるものである。それでも止められなかった場合(いわば「殿、ご乱心」の状態だったのかもしれない)、法的訴追をしたり、告発したりする。イギリスの監視機関もそのためにあり、”空白の十分”をつくってしまった日本は、国家としてのギリギリの安全装置も機軸も失ってしまったのである。
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中西氏にお尋ねした処、情報の出所は二つあります。一つは外国人の外交筋です。日本がどのくらい情報を知っているかを試す意味と、日本に親切に警告する意味の両方があったように思うと氏は私に語りました。
もう一つの情報はテレビ朝日の5月24日か、25日か26日かの、ニューススクランブル(正午12:00~)で自明のこととして語られていたのを中西氏がメモしたのを基礎にしている。従って、氏は「空白の十分間」は誰もが知っている明白な事実と思っていたそうです。
しかし、何日経ってもこれが重大ニュースになりません。それどころかマスコミの表からはいっさい消えてしまいました。5月25日か26日かを境にまるで雲がかき消えるように消滅してしまったのです。不思議でなりません。私が報道関係筋に聞いても知らぬ存ぜぬです。官邸筋の秘匿意図が働いているのかもしれません。それほど重大な事柄なのでしょう。
以下のことでご存知のかた、至急Commentsに書きこんで下さい。
「10分間の空白」について
1)テレビで聞いて自分も知っている。
2)そのときのビデオを持っている。
3)中西氏以外のなにかで別に読んだ記憶がある。
4)そのときの関連の活字をもっている。
5)その他
ご協力をよろしくおねがいします。
2004年08月16日
――不可解な19~20世紀前半の世界――
大東亜戦争の開戦間もない昭和17年(1942)2月15日のシンガポール陥落の報は、日本だけでなく、世界中をあっと驚かせた。日本の同盟国ドイツ、イタリアは歓声をあげ、イギリスは狼狽(ろうばい)、アメリカは沈黙、他の国々で日本との国交断絶を計画していた国は次々と見合わせる方針を発表した。電光石火日本軍に席巻されたイギリスの不甲斐(ふがい)なさにアメリカは失望の意をあらわにした。イギリス海軍はその少し前、目の前のドーヴァー海峡をドイツ艦隊が通過するのを阻止できなかった。アメリカはこの件にも失望していた。
戦争の行方は分からなかった。アメリカにもイギリスにも恐怖があった。終わってしまった結果から戦争を判定するのは間違いである。未来が見えない、どうなるか分からない、その時代の空気に立ち還って考えなくてはいけない。
19-20世紀前半は今思うとまことに不可解な時代であった。世界政治の中でどの国が覇権を握るかをめぐるテーマが最大の関心事で、列強とよばれる国々では、世界に膨張しなくてはその地位を維持できず、小国に転落するという論調が堂々と罷り通っていた。
各国は簡単に銃をとり、一寸(ちょっと)したことで感情を高ぶらせて戦争に訴える計画に走った。故高坂正堯氏によると、19世紀末にはイギリスとアメリカがすんでのところで戦争になるという局面さえあったそうだ。それはイギリスの植民地ガイアナが隣国ベネズエラと国境紛争を起こし、ベネズエラがアメリカに仲介を頼んだことによる。調停案を持ち出したアメリカを大国イギリスは相手にしなかった。アメリカはそんな役割を果たせるだけの大国になっていなかったからだ。イギリスはアメリカを生意気な子供扱いにしたために、アメリカの感情が激化し、英米戦争の可能性が取り沙汰(ざた)されたのだった。
19世紀末にアメリカはまだ実力のない新興国だった。太平洋の緒戦でイギリスがシンガポールを落した1942年までに、イギリスからアメリカへの覇権の移動が徐々に進んでいた。イギリスの歴史教科書は、「第一次世界大戦で世界に二つの大国が出現した-アメリカと日本」と書いた。ガイアナとベネズエラの国境紛争があわや英米戦争になりかけたのは、アメリカの覇権獲得までの小さな途中劇であるが、イギリスに負けまいとする若いアメリカの意地のドラマでもあった。
20世紀前半まで、このように列強は自尊心のためとあらばときとして自分を危険に陥れる冒険をいとわなかった。大東亜戦争もある程度までは、というよりかなりの程度まで、日本人の自尊心が絡んでいる。主たる交戦国アメリカを戦前において心底から憎んでいる日本人はほとんどいなかった。シンガポール陥落の日、朝日新聞ベルリン支局が各国の特派員に国際電話した「世界の感銘を聴く」(17日付夕刊)の中に、ブルガリアの首都ソフィアの前田特派員からの次のような言葉が見出せる。
「最近こんな話があるよ。ブルガリアの兵隊二人が日本公使館を訪れて突然毛皮の外套二着を差出しこれをシンガポール一番乗りの兵隊と二番乗りの兵隊に送ってくれといふんだ。山路公使は面喰(めんくら)って御志だけは有難(ありがた)く受けるが、シンガポール戦場は暑くてとてもこの外套を着て戦争は出来ないからと鄭重に礼を述べて帰らせた」と、同盟国ブルガリアの歓喜の声を伝えている。まるでオリンピックのマラソンの一着、二着が報ぜられたかのごとくである。「一番乗り」「二番乗り」から私が思い浮かべるのは現代の戦争ではなく、むしろ、あえて言えば、『太平記』や『平家物語』に近いといってよいだろう。
自尊心、功名心、忠勇無双-世界中どこでも当時戦争に対する国民の意識は同じようなものだった。空中戦で敵機を百機撃ち落した「撃墜王」は日本にもアメリカにもいたはずだ。例の「百人斬り」も、勇者を讃(たた)える戦意高揚の武勲譚(たん)で、戦後になってこれをことごとしく問題にする方がおかしい。
2004年08月14日
――100年経たなければわからない――
ことに対中援助の実情を見る限り、戦後の日本は泥沼にはまりこんで身動きできない戦中の日本にある意味で似た状況に陥っているようにみえはしないだろうか。三兆円にも達するといわれる外務省管轄の対中ODA(政府開発援助)とは別枠で、大蔵省が管轄してきた旧日本輸出入銀行を通した中国向けのアンタイドローンというのが存在する。これらがどうやらODA総額を軽く上回るほどの不気味な巨額をなしているらしいことを最近われわれに教えてくれたのは、古森義久氏の『
日中再考』であった。
知らぬ間にどんどん増えた援助の実体は中国国民に感謝されていないし、知らされてもいない。これで道路や空港を整備した北京がオリンピック主催地として大阪を破り、毎年の援助額程度で相手は有人宇宙衛星を飛ばして、日本を追い抜いたと自尊心を満たしている。それでも日本は援助を中止できないという。そのからくりがどうなっているのかは素人には分からないが、まさに泥沼に入り込むように簡単に足が抜けないのが、今も昔もいつの世にも変わらぬ、日本から関与する中国大陸である。いま競って企業進出している産業界も、付加価値の高い上位技術で利益をあげ、有卦(うげ)に入っているが、やがて戦中と同じ「手に負えない」局面にぶつかる日も近かろう。
朝鮮半島も中国大陸も、昔から日本人には理筋の通らない、面倒な世界でありつづけた。日本を「倭奴」とか「東夷」といって軽く見て、欧米人の力には卑屈に屈服しても日本人の力には反発し、恭順の意を表さない。
こうして今のわれわれが依然として半島にも大陸にも「手に負えない」ものを感じ苦しんでいるのだとしたら、先の大戦での日本の政策や行動をどうして簡単に「あれは失敗だった」「ああすりゃ良かった」「手出ししなければ良かったんだ」など小利口に批判することができるのだろうか。
窪地に水を流し込むように、日本を含むあの時代の国際社会は競って中国に兵力を投入した。日本を含む今の世界各国の企業が、窪地に水を流し込むように、競って資金を投入しているさまにも相似ている。今の産業界にも「手出ししなければ良いんだ」とうそぶいて、小利口ぶりを発揮する企業があれば見たいものだ。日本経済が今これで上向きになっているのだから、進出企業は聞く耳を持つまいが、だとしたら成功と正しさを信じた軍の華北進撃を批判しても、当時の軍に聞く耳がなかったことは、いかんせん止むを得ぬことではなかったのか。
今のわれわれに未来がはっきり見えないように、当時の日本人もまた見えない未来を必死に手探りしつつ生きていたのであって、愚かといえば確かにどちらも愚かであるが、健気(けなげ)で無我夢中で、我武者羅(がむしゃら)に前方ばかりを見て、哀れなほどに愚直に生きているのだといえば、戦中も今も、日本人の生き方はどちらも似たようなものではないだろうか。
われわれは過ぎ去った昔日の行為を、現在の感覚や判断であれこれ同義的にきめつけて、「反省」しても、さして意味のないことにもっと深く思いを致すべきだろう。過去に対する現在の人間の自由な批判は、むしろ横暴で、傲慢(ごうまん)で、浅はかであることを肝に銘じておくべきだろう。
「歴史を学ぶ」とは歴史の失敗に関する教訓を、現在のわれわれの生活に活用するというような簡単で分かりやすい話ではあるまい。失敗かどうかさえも本当のところはよく分からないのだ。そんなことをいえば現在のわれわれの生活だってすでに失敗を犯し、取り返しのつかない選択の道を潜り抜けているのかもしれない。
ある人は大東亜戦争は侵略であり、犯罪であるという。別のある人は愚行であり、過信の結果であったことだけは間違いないと反省する。負けた戦争は成功とはいえないから、後者に一応の理はあるが、どれが本当のところ正しかったかはあと百年経ってみなければ分からない。
2004年08月12日
「新・地球日本史」という歴史ものの連載が「明治中期から第二次世界大戦まで」の副題をつけて、いま「産経」文化面に連載中である。毎週一人が担当する。すでに西尾幹二、八木秀次氏、加地伸行氏、田中英道氏、鳥海靖氏の五人が登場し、各担当分を完了している。今は弁護士の高池勝彦氏が「大津事件―政治からの司法の独立」を掲載中である。
このあと福地惇「日本の大陸政策は正攻法だった」、北村稔「日清戦争―中華秩序の破壊」、平間洋一「日露戦争―西洋中心史観の破壊」、三浦朱門「明治大帝の世界史的位置」、入江隆則「日清日露の戦後に日本が直面したもの」、田久保忠衛「ボーア戦争と日英同盟」・・・・・・という具合につづく。
私は全体の総論を書く必要があるので、明治を離れ、あえて「新・地球日本史」の中心部分ともなる1930年~45年の頃のテーマ、及び現代のわれわれのそれへの意識を語った。題して「日本人の自尊心の試練の物語」である。新聞でお読みいただいた方も多いと思うが、ここに再録させていたゞく。
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――歴史に学んで自己を改められるか――
先の大戦で日本が中国大陸にさながら泥沼に入りこむように深入りして、抜け出そうにも出られなかった状況について、われわれはここ半世紀、「あれは失敗だった」「ああせずに、こうしておけば良かった」「日本人は道を誤った」と反省と悔悟の声を上げることしきりであった。
勿論、日本は近隣国とは干戈(かんか)を交えないほうが良かったに違いない。地球の裏側に回って戦争をしかけたり植民地を作ったりすることが日常茶飯事であったのが20世紀の前半までの世界だった。日本はその仲間入りはしなかったし、できなかった。それならいっそのことどことも戦争をしなければ良かった。否、欧米とは戦っても、中国とだけは戦わなければ良かった。そう考える人が今の日本にはことのほか多い。
自分の過去の失敗や踏み外しを反省することはもとより悪いことではない。けれども反省したからといって現在の自分がほんの少しでも利口になったといえるのかどうかは、まったく次元を異にする別の問題である。歴史に学んで自己を改めるとか同じ歴史の過ちを二度と繰り返さないとか、よく人はそういう言葉を簡単に口にするが、人間は過去において失敗や過ちを犯すつもりで生きてきたわけではない。成功と正しさを信じて生きていたのである。従ってそのときの心の真実をもう一度改めて蘇らせ、同じ正しさを再認識し生き直さない限り、それが失敗や過ちであったかどうかさえ分かるわけがない。
過去の行為の間違いを正すことにおいて、現在の人間は果てしなく自由であるが、現在の行為の間違いを正すことに、それがほんの少しでも役立つと考えるのは、ほろ苦い自己錯誤であろう。
例えば、いま日米韓の三国は金正日の国をソフトランディングさせたい、なるべく禍(わざわい)を自国に及ぼさないで解決したいと考え、この国の生き延びを許してしまっている。日米韓それぞれの事情があって自由に動けない。ことに日本は無力である。その結果、拉致された自国民を救出できないばかりか、北朝鮮の人民が日々飢餓にあえいで惨死しているのを黙視している外ない。日本人は自分の道徳感情に従って自由に行動できない現実を目の前に見ている。
われわれはいま本当は重大な過誤の入り口に立っているのかもしれない。できるだけ平和的に解決しようとする思いが大きい余り、朝鮮半島への今後一世紀の経路を間違え、とんでもない運命を選択しようとしているのかもしれない。それはずっと先になってみなければ分からない。しかし人間はつねにそのとき最善と思う道を選ぶ。今度の件もどうなるかは分らないが、それなりの成功と正しさを信じて、日本人は新しい政策を選ぶであろう。
かつて中国大陸に泥沼にはまるように行動した悪夢のような選択を今の日本人はしきりに「反省」するが、呼べども叫べどもどうにもならなかった、手に負えない厄介な世界があの当時の大陸だった。過去の日本の間違いを正すことにおいてすこぶる自由な今の日本人は、それなら目の前の政治の選択においても間違いがなく、自由で賢明であり得るのであろうか。
人はいつの時代にも不自由で、見えない未来を日々切り開いて生きているのではないのか。
朝鮮半島という、われわれがいくら声を張り上げて叫んでも言葉の届かない、手に負えない世界を前にしている今の日本人と、大陸政策で批判ばかりされてきたかこの日本人と、不自由という点で原理上どんな違いがあるというのだろう。
勿論、過去の日本は軍事進出していた。今の日本は資金投与の方法以外に他国を少しでも動かす方法を他に知らない。そのように行動の種類は異なっているが、力の行使という点では同じであり、しかもその力がもたらす結果の見通しの不透明という点では、きわめてよく似ているのである。このようにいくらこうしたいと自分で思ってもそうできない現実はいつの時代にも存在する。
(8/14誤字修正)
2004年08月11日
ちょっと、一杯
2004年08月08日
『男子、一生の問題』書評
産經新聞、「旬を読む」X氏の一冊より。
哲学者 中島義道《信念の男が古希の心境》
2004年08月06日
7月28日に今年三冊目の本の担当者(青春出版社)二名と打ち合わせ会が行われました。本はすでに9割できあがっていて、書名でさんざんもめました。担当者の一人はこの5月に結婚したばかりの清楚な美しい女性記者で、彼女とお酒をくみ交わしながら自分の新刊本の書名をあれこれ論じ合うのは楽しいひとときでした。結局、題はシンプルに勝るものなし、という私の意見がいれられ、最初の案『日本を救う日本人の条件』はやめて、同行の課長さんの出したいい提案で、『日本人の証明』ときまりました。10月刊行予定です。
『日本がアメリカに見捨てられる日』(徳間書店)と『日本人の証明』(青春出版社)は刊行日が近づけば詳しい目次面の紹介を含む内容説明をおこないます。次に少し作業が遅れていますが、ひきつづき本年4冊目の企画は八木秀次氏との対談本『新・国民の油断』(PHP研究所)で、ジェンダーフリー批判です。男女参画反論本の決定版を出したいと思っています。相手にダメージを与える本質論を、分り易く平明に論じて、戦っている各方面の指針となるべく期待に添いたいと考えています。私はいま山のように集めた資料と格闘しております。
さて、これで終わるのならいいのですが、ここからが私の最大の難所です。『男子、一生の問題』を含む今までの4冊のうち3冊はすでに事実上終っているのです。7月30日に筑摩書房と扶桑社の担当者の両方に会いました。これはこれからの話です。筑摩書房の「ちくま新書」『あなたは自由か』は1年以上も前に70枚書いて止まっているのです。70枚読み返してみたら、これがなかなかいい。『諸君!』連載が終ったのだから、もうこれ以上は待てない、という、筑摩の湯原さんの気迫もさることながら、今まで書いた内容に自分で満足していることから、やはりこれはやり遂げなくてはいけないと思いました。「月刊誌のように毎月各章をお宅までもらいに行きますよ」といわれて「そうしてもらおうか」と弱々しげに答えました。
同日夜、扶桑社の書籍編集の新責任担当常務の鈴木伸子氏にお会いしました。昔からの仲間の眞部栄一氏と吉田淳氏と四人で、わが家に比較的近い五日市街道寄りの高級寿司屋へ行って歓談。ここで決定されたことは重い。ひょっとするとこれで私の体力は尽き果てるかもしれません。
『国民の歴史』のパート2を書くという要請はかねてあり、関連書物をすでにどんどん集めています。今度は新しいところに限定で、『国民の現代史』でいきたい、とか。日米・日中・日ソと革命の歴史20世紀、スパイと武士道の戦い、情報戦に敗れこの半世紀の「冷戦」を他の国は戦い抜いたのに、それをもせずに腑抜けの殻となったわが国とわが民にいかなる愛の涙を注げるか!
8月1日第二回目のAldrich研究会。当日録の無頼教師さんが『国民の現代史』の話を伝えきいて、730ページのR.J.Aldrichという人の“the hidden hand―Britain,America and Cold War Secret Intelligence”を持ちこんでこられた。私のための勉強会が開かれることになったのです。すでに第二回目ですが、なかなか進みません。むつかしいし、量が多い。
こうしてともあれ皆さんの愛情と支援につつまれてどうなるか先の見えない戦いに船出しました。
私は自分の書きたい本を書けるだけ書くのが一番楽しい人生だと思ってきましたから――大学の会議と、大学生に話をするのが好きではなかったから(今の学生には何を話しても空しいのです)――今はある意味でとても充実していて、幸せなのです。ただし大きな仕事が時間的に間に合うのだろうか――これが問題です。
『国民の現代史』を私は2005年6月刊と主張しています。扶桑社の眞部さんは3月か4月だといいます。そんなこと不可能です。私は長嶋茂雄氏と同じ年齢なのです。
私は長嶋さんと同じ齢だってことを忘れるなよ、と言って別れました。
ふと気がついたら『江戸のダイナミズム』を本にする仕事もきっとあるはずだったのに、いつしか忘れているのです。終ったことはもう終ったことで、心の中で処理されてしまっているからでした。
2004年08月04日
8月25日刊行予定で『日本がアメリカから見捨てられる日』(徳間書店)の校正がいま急遽進められています。その第一章は、「他人の運命にも国家にも無関心なあぶない宰相」で、最近の関係論文を収めますが、当日録の最新稿「小泉首相批判について」(一)(二)(三)をも収録することにしました。その関係で(一)と(三)の各後半を若干加筆修正しました。現在日録に掲げられているのは加筆修正後の文章です。思想内容に変更はありません。
7月22日に「江戸のダイナミズム」(『諸君!』9月号最終回「転回点としての孔子とソクラテス」)の校了をすませた後、23日から8月2日まで、一日を除いて毎日、会合、会議、ミーティング、出版社との打ち合わせ、新しい勉強会がつづき、あっという間に10日間が流れました。ここで起こった出来事のうち詳しい内容をお知らせした方がいいものももちろんありますが、それは後日に譲り、10日間に何があったかだけを連記します。
「新しい歴史教科書をつくる会」の新会長選出をめぐる理事間の調整の最終段階に入り、7月29日の理事会で内定し、8月2日に正式に決定しました。事務局長が手順を踏んで公式発表をするから待ってくれというので、私はここで新会長の名を公表するのを差し控えます。2~3日中に、2名の新加盟の女性理事の名と共に新聞その他で公開されるだろうと思います。
11月20日福田恆存先生の10周年のご命日に次の企画が実施されることとなり、内容打ち合わせを去る7月25日に行いました。
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福田恆存歿後 10年記念―講演とシンポジウム
日時:11月20日午後2時30分 ¥2000
場所:サイエンスホール 地下鉄東西線竹橋駅より7分
公開:福田恆存未発表講演テープ「近代人の資格」(昭48)
講演:山田太一 一読者として
講演:西尾幹二 福田恆存の哲学
シンポジウム:西尾幹二・由紀草一・佐藤松男
主催:現代文化会議
Tel. 03-5261-2753(夜)
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7月26日には私学会館にて九段下会議第一回オープンフォーラムが行われ、参加者は約50人でした。当日録の書き込み者も数名参加していました。安倍晋三氏が最初に挨拶、城内実氏(衆議院議員)の講演、山谷えり子氏、衛藤晟一氏の発言もあって、大いに盛り上がりました。参加者からもいい提案が出ました。この件は日録にあるていど詳しく報告いたします。信頼できる新しい保守の、知識人と政治家の協力体制です。
2004年08月01日
それでも世間では、小泉首相は今までの首相がともかく誰もやらなかったことを幾つかなしとげたと思っているいる人がいまだに案外多い。他に代れる人がいないのだからとにかく相対的にましなこの人を降ろす理由はない、と。
それから、小泉首相を追いつめると民主党を利し、民主党と公明党が連立を組む最悪の政権を心ならずも作り出してしまう結果になると心配する向きもある。
さらに、小泉政権の解消が北朝鮮との国交正常化を食い止める結果に必ずしもつながらないのではないかと問う人もいる。また日本が国交正常化をしてもしなくても、金正日政権の存続には直に関係がなく、中露韓の三国が金正日政権の維持にひきつづき貢献するだろうとの予測を述べる人もいる。
また、小泉首相は北が拉致や核をめぐるピョンヤン宣言を忠実に実行しない限り、これ以上どんな援助もしないし、巨額の資金を北に渡すことはしないと再三言明しているので、さほど心配は要らないと安心している人も多い。それでいてピョンヤン宣言に拉致のことも書かれていなかったし、首相が会談で核査察を問い糾さなかったことも人々はとうに忘れている。
つまり、意見の大勢は小泉首相に任していてもまだまだ安心で、かりに退任に追いこんだとしても、そのあとに不安のない、より良いシナリオが思い浮かばない、という点におゝよそ一致しているのではないか。
これらの人々に私は次のように申し上げる。
小泉首相はもともと人間的に無責任であぶない政治家だった。そしてその個人的な冒険を好む、お坊ちゃんの遊び人体質のあぶなさが、今米大統領選の近づく国際情勢下のここへきて一段ときわ立ってきているようなので、ここいらで手を引いてもいらいたいと希望しているのである。
私はにわかにこう言い出したのではない。前から同じ観察をしてきている。『男子、一生の問題』を読んだ方は、その4章の「ノルウェー旅行で買った一枚の地図」のくだりを覚えておられるであろう。地図を買って自分の旅の中の位置がはっきり分った経験から、正しい言葉やぶれない言論が地図と同じようにいかに必要かと述べた箇所である。
小泉首相の第一回訪朝(2002年9月17日)から半年以上経たあたりで以下の文章を私は書いている。
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小泉首相は拉致の二文字どころか、核問題や核査察について何一つ宣言文に言及せずして、言われるままに黙って調印してのこのこ帰ってきた。
私は小泉訪朝の日に、この事実をすでにはっきり問題視している。未来が見えない人間は、動物のように一寸先をしか見ずに、本能だけで生きている。テレビのキャスターたちの間抜けづらが思い出される。言葉や思想がどうしても必要な所以(ゆえん)である。
平成15年(2003年)2月21日、全日空ホテルで国際日本フォーラムの緊急提言委員会が開かれ、イラクと北朝鮮をめぐるアメリカ支持のアピールを採択して、私も署名した。その席上、田久保忠衛氏が、「ピョンヤン宣言で小泉首相が核のことを取り上げずに、10月16日にアメリカからたしなめられるという一件があったが 、年が変わっていまごろになって日本が核を騒ぎ出しても、「だから前に言ったじゃないか」とブッシュに言われそうで、まことにバツが悪い」と発言し、同席者は皆そうだと思った。
言葉と思想を持つ人間は先をきちんと見ている。政治家にそれがない。ことに小泉首相にそれがない。彼が日本人をどこへ連れて行くのかわからないのでじつに不安である。
私たちは霧の濃いノルウェーの山と湖のただ中をさまよっている感じがする。
何とかして一枚の地図が欲しいものだ。真の言葉の果たすべき役割がこれである。しかしマスコミが広がって、情報が多く、贋物の言論がはびこり、われわれは蹌踉(そうろう)と砂漠の中を歩いているような不確実性にさらされている。(120-121ページ)
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以上の通り、私は最初から小泉首相が日本をどこへつれていくのか、支持率が高く独裁的な人であるだけに不安でならなかった。2004年5月22日の再訪朝で金正日に個人的に脅迫された節があると睨んで、いよいよもうダメだ、日本は本当に危いと思い出した今までの経緯は私の複数の論説で分ったであろう。
小泉首相の国際外交判断力は昔の金丸信と変わらない。彼が拉致の5人をとり戻したことは事実だが、あれは北に忠実な4人を選び、米兵がらみの1人を加えて、向こうから投げて寄越した北の謀略で、日本の世論がすぐ北へ戻りたがった彼ら5人を守ったのであり、首相の功績ではまったくない。世論が燃えなかったら小泉氏は5人をすぐ北へ戻したろう。小泉内閣になってから「誰もやらなかったことを幾つかなしとげた」事実はない。「改革」は掛け声だけで、なにもまだ成果がなく、タイム・イズ・オーバーである。
先の参議院選挙の期間中、小泉総理は「構造改革の成果がようやく出て来た、景気が回復して来た」と改革の成果を盛んに強調していたが、内実は「構造改革な景気回復」であり、米国、中国への輸出の増加によるものと分析されている。
私はしみじみ最近、貧富の格差がこの5、6年で広がったと感じている。規模の大きい資産家が出現し、次々と邸宅を建てている反面、リストラで子供を高校中退させるローン破産者も激増している。大企業、中堅、中小企業という企業間格差、また都市と地方の景気回復の格差が広がる一方である。
小泉政権をこのまま続ければ、自民党は確実に次の選挙で民主党に政権を渡すことになる。リベラル左翼から旧社会党まで含む民主党の政権を私は望まない。また、小沢一郎氏の無責任な渡り鳥的行動をも支持しない。早く自民党内で首相交替の手を打ってもらいたい。
小泉退陣で、安倍政権になお間があるなら麻生太郎氏も、平沼赳夫氏、高村正彦氏もまだいて、民主党政権なんかにはすぐにならない。小泉首相はアメリカの意向も国民の反対も無視して、北朝鮮に大金を支払うようなことはない、と思っている人が多いが、小泉氏に限っては分らない。にわかに何をするか分らない。
金正日政権の存続はたしかに小泉政権の動向とは関係ない。たゞ日本の国内は国家観をもち世界がもっとよく分っている政治家を指導者に頂いておいた方が安全である。
半島には近く激変があり得る。北朝鮮が一番恐れているのはアメリカではなく、中国とロシアかもしれない。中露に敵対して、一転してアメリカに依存し、アメリカ軍の駐留を求めるという思ってもみない展開をしないとも限らない。戦争なしで北朝鮮に突然星条旗が立つかもしれない。ジェンキンス氏はひょっとしたら金正日のブッシュ宛の密書を携えた使者かもしれない。彼はなぜあんなに簡単に日本行きを承諾したのか。
しかしそれは金正日が民主主義というものの力を誤認した場合で、簡単に起るとも思えない。たゞし、中国とロシアに金正日は心を許していないはずで、追いつめられて何が起こるかまったく分らない。過日の中国からの金正日帰路に起こった駅爆破テロは、中国の仕業か、北の内部の反体制派の仕業か、それが分らないので、米情報部は必死に調査中だろう。いづれにせよ、米対中露をめぐる激しい水面下のつばぜり合いが起こっていると思う。
いよいよ何か決定的なことが起こったとき、日本が尻軽になって北朝鮮とアメリカの両